〇 対称
5・6年生(複式学級)・・・11名(5年:8名、6年:3名)
〇 利用環境
児童機・・・Sony Xperia Z4 Tablet(15台)すべてにSIM
教師機・・・Microsoft Surface(1台)
その他・・・提示用 大型TV(既存) 無線ディスプレイアダプタ
〇 利用アプリケーション(主として活用)
〇 その他
・15台のタブレットを久万高原町内の小学校にも配置し、タブレット活用の普及に向けた取り組みを行う。
・タブレットを活用した授業公開を11月上旬に予定
児童機は、約10インチの画面を持つタブレットで、薄くて軽い。通信は学級内ではLTEでつながる。現在、ダウンロードは約8.4Mbpsで、アップロードは約4.8Mbps という結果が出ている。
タブレット15台の保存方法は、写真のように、電源タップを3本用意し、つないでいる。タブレットを立てているのは100均で購入した皿立てである。(1つに4台まで立てられる)
先生機は、Surface pro 256GB(win8)
。これを、サイバー先生の教師機として児童機を管理する。児童機の画面を集約した画面を、無線ディスプレイアダプタを介して教室内の大型ディスプレイに表示させている。
利用しているディスプレイアダプタ。電源を供給しないといけないが、HDML端子で接続できるので、とても手軽。
実践事例1 運動会放送
放送用のアンプにタブレットを接続し、入場曲や演技曲などを指1本で操作できました。活用したアプリはリリース前段階のものをお借りしたため公表できませんが、今後の学校教育現場でのニーズは高まると感じました。現在iOSバージョンですが、Androidバージョンもリリース予定とかで今から期待しています。曲の管理は「itune」を利用し、タブレットと同期をさせました。
実践事例2 5年算数科「人文字」 複式授業におけるタブレットの活用
<研究について>
「サイバー先生」(NTT-IT)を活用し、教材の配布・児童の書き込みによる思考の視覚化・画面集約・拡大表示しての発表などを効率よく行う。一人1台のタブレット活用を行うことで、書き込んだタブレットを持ちより話し合う。
<授業の実際>
別紙(本時の展開)
・本時の課題である「M」の図形を一斉送信する。児童は受信しタブレットに考えを書き込みながら答えを導き出した。
・書き込んだ後、タブレットを持ち歩き、互いの考えを伝え合いよりよい考え方や正しい答えは何かなどを話し合った。
・話し合った結果をもとに、自分なりの考え方と答えをタブレットに書き込む。
・最終的な考えを書き込んだ画面を教師側で集約し、大型ディスプレイで表示させた。
・表示させた画面を拡大し、発表させた。
・考え方が同じ児童の画面や違う考えの児童の画面を比較表示させ、考え方の違いを考えさせた。
<成果>
・プリント等のアナログと比較するとスムーズに配布・回収ができ授業展開のリズムがよくなった。
・タブレットを活用することで児童の学習意欲が高まり、考えをまずタブレットに書き込もうとするようになった。また、書き込んだ内容を簡単に消したり、追記したりすることができた。
・書き込んだタブレットを直接持ち寄って話し合いをするため、どのように考えその答えになったのか説明しやすいようだった。その場でもう一度書き込みながら説明する児童も見られた。主体的に学ぶ姿が見られるようになった。
・児童のタブレット画面を教師が任意に集約することができるため、児童の考えを一覧で把握しやすい。その集約画面を活用して、個別支援(指導)が必要な児童に適宜支援(指導)を行うことができた。
・発表の段階で、集約した画面を1タップで拡大できるため授業のテンポがよい。
・比較が容易にできるため、児童の思考の整理等を行うことができた。
授業のリズム・児童の主体的な学び・個の学習進度の把握・提示の工夫
<課題>
・タブレットの活用とノート活用のバランス。タブレットへの書き込みばかりになると、ノートが書かれない。1時間の授業が終了したときにノートが真っ白ということにもなりかねない。
・「サイバー先生」を活用する場合、児童自身が複数のシートを作成することができない。新規取り込みをしてしまうと、それまでのシートはなくなってしまう。
デジタルとアナログのバランス・アプリの課題
<実践から>
「サイバー先生」を活用すると授業のテンポが非常によいと感じた。教材を準備することも必要であるが、その場でタブレットのカメラを活用して撮影して配布するといった、タブレット特有の活用方法ができる。このような小さな時間の積み重ねが、児童の考える時間や話し合う時間に割り当てられることで、授業の内容や質が向上すると考えられる。
本時の展開(指導案より)
実践事例3 6年算数科「およその形と大きさ」 複式授業におけるタブレットの活用
<始めに>
複式授業では1時間の授業で2学年の内容を一人の教員が指導することになる。従って必然的に教師が直接指導することができない時間が生じる。これを「間接指導」と呼んでいる。この時間の多くは児童一人一人の個別学習の時間であったり、グループや全体での話し合いの時間であったりする。単純に計算しても45分の授業で半分の22~23分は自分たちだけで学習を進めないといけない。
<研究について>
上記のような複式授業の課題を少しでも解決できないかとタブレットを活用した「クラス内反転学習」を実践した。「クラス内反転学習」については、「タブレット教材の作り方とクラス内反転学習」(2015赤堀侃司)び「反転学習が変える教育の未来」(2014芝池宗克・中西洋介)を参考にした。
<授業の実際>
別紙
・授業の導入後、本時の内容に入ったときにタブレットを使って課題解決に必要な知識を動画で学習する「クラス内反転学習」を実施した。
・動画を視聴しながら、配布されたプリントに書き込み、問題を解きながら学習を進めていった。必要に応じて一時停止や繰り返しの再生を行った。
<成果>
・動画を視聴することで、実際の授業を受けていることとほぼ同様の体験ができ、約10分間の「間接指導」時間が有効活用できた。
・動画を一人一人で視聴することで、一時停止をして考えたり、動画を戻してもう一度視聴しなおしたりするなど児童のペースに合わせた学習を展開することができた。
・動画は一度きりではなく、保存できているため学習後の振り返りや著作権や肖像権がクリアできれば他の教師への活用ができる。
「間接指導」時の有効活用・個に応じた学び・データの再利用
<課題>
・動画作成にかかる時間。撮影し視聴できるように加工する場合、動画編集のスキルが必要。また、他教科の準備・教材研究もあり、時間確保も課題となる。
動画作成の時間とスキル
<実践から>
「反転学習」は複式授業における「間接指導」時の課題を解消する有効な手段の一つになることが分かった。しかし、動画を作成する上での課題も見付かった。動画編集のスキルが教員に対してハードルになってしまう場合が考えられる。「反転学習」を導入することは賛成できても、動画を自分で作成してとなると困難さを示される。動画をどのように撮影し作成すればよいのか、その研修も重要となると言える。教育番組のような完成度を求めるのではなく、普段の授業の様子を撮影する感じでととらえるとよいのではないかと実践をして感じた。
本時の展開(指導案より) *実践事例2と同じ